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恵比寿屋喜兵衛手控え (講談社文庫)

喜兵衛が主を務める恵比寿屋は、ただの旅籠ではなく、公事訴訟のために江戸にやってきた人を泊め、訴訟の助言や書類の代筆、吟味に同席して助けたりする公事宿です。

いつもの様に持ち込まれた、越後から江戸までやってきた六助という百姓の公事依頼と時を同じくして、奇妙なことが喜兵衛の日常に割り込んで来ます。その謎を調べていくうちに、喜兵衛の周囲が予想外にきな臭くなっていきます。

この本は、歴史経済小説を書いていた著者が、時代小説を手がけた最初の作品で、直木賞を受賞しています。他の連作物を読んだ後で本作を読んでいるせいか、居眠り紋蔵や桑山十兵衛ほどには主人公の喜兵衛の印象が薄いように感じますが、それはシリーズ物と読み切り物の違いであって、本作でも著者の描写は詳細かつ生き生きとしており、当時の訴訟事に関する堅い考証の上に構築された物語は安定感があります。さらに最後のオチが、登場人物に人間味をさらに深く与えています。
商品名
恵比寿屋喜兵衛手控え (講談社文庫)
価格
¥680
著者
佐藤 雅美
出版社
講談社
発売日
1996-09-12
URL
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/406263340X/kanshin-1-22/ref=nosim