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Mad Science ―炎と煙と轟音の科学実験54

本書で取り上げられる実験は、とにかくど派手なものであり、それを目の当たりにすれば、自然科学、特に化学や物理学への興味がかき立てられることであろう。ーーーただし、安全な場所から見る限り。


訳者あとがきによると、この本の著者、Theodore Gray(テオ・グレイ)氏は、Mathematicaを販売するWolfram Research社の役員の傍ら、「元素マニア」であり、元素のサンプルを入れた「周期表テーブル」の作者であり、それを写真に収めた「世界一美しい周期表」でも知られる。氏が実際に自宅のガレージや庭で行った科学実験を美しい写真と共に紙面に収めたものがこの本である。著者の知識と経験、それから周到な準備と慎重な行動によって、危険をさけ安全を確保することによってこれらの実験を可能にしている。少なくとも、この本を読む我々は、安全に、どのようなことが起こるかを知ることができる。


危険な知識に触れるのがいいのかどうか、異論もあるだろうが、いかに危険なことであっても、この本で触れられる現象は、その元素・化合物・物質の性質がもたらすものであり、この自然界の中に我々が居る限りいかに隠そうとも紛れもない真実である。このような危険なことを引き起こせる、ということを知ることも大事なことである。


派手な実験ほど興味をそそるものである。しかし、そのような実験は同時に危険でもある。この本はいかにもレシピ風に書いてあるが、ほとんどの実験はこれまでに何の経験もない人(大人でも)が実際にできるものではない。しかし、綺麗で鮮やかな写真と、そこに添えられた文章は、その実験を見たかのような感覚を呼び起こし、その場に居なくても充分興味をそそるものであろう。

しかし、どうしても、という方は著者の序文を充分に読むことだ。さらに我慢ができなければ、著者のweb siteを訪れてはどうか。http://graysci.com/ そこには実験のmovieもある。


危険だからといって全てをむやみに遠ざけてはいけない。我々は、この世の中を構成している物質について、もっと知らなければならない。しかし、判断力も重要だ。この本は大人の娯楽本かもしれない。この本を子供と共に読んで、正しく楽しめる大人でありたい。

商品名
Mad Science ―炎と煙と轟音の科学実験54
価格
¥2,940
著者
Theodore Gray
出版社
オライリージャパン
発売日
2010-05-24
URL
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873114543/kanshin-1-22/ref=nosim