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大阪の教科書―大阪検定公式テキスト

大阪について紹介する本の中で一番目立つのは、他の地方の人(その多くは東京)から見て、大阪(人)のいかにもけったいなところを、誇張しておもしろおかしく書き立てたようなものである。しかもそのネタはそのへんの本からかき集めて来たようなものの使い回しばっかりで、あげくの果てには、著者の名前は実体の不明な、なんちゃら委員会とか...。こういう「いかにも大阪」の寄せ集め的で安直な作りの本が多くて最近辟易している。この傾向に拍車をかけるのが何をかくそうその大阪人の気質で、一面的な見方だということをお互いに承知の上で、お約束とばかりにマンネリのネタをやっぱりやってしまうわけである(笑。しかしその裏ではそんな訳あるかい!とツッコむ自分が同時に居る。そして大阪人は、その、裏のヤヤコシイ思いや感情を、実は他人には滅多にさらさないのである。

かくも複雑な大阪人の生息する大阪、その真の姿には、そこらの大阪本をいくら読んでも、なかなか到達できないであろう。そこで(長い前置きすみません)お勧めするのが、この本である。橋爪伸也監修のもとで専門家が著した、「ことば」「社会」「スポーツ」「芸術・娯楽」「暮らし」「街」テーマに沿った多くの項目の解説を通じて、郷土大阪の姿、文化、考え方を知ることができる。例えば、ことばの項では、さまざまな例をあげつつ、大阪のことばに透けて見える発想が解説される。芸術・娯楽では、文楽上方歌舞伎、落語、漫才、クラッシック、ジャズ、フォーク・ロック、演歌、河内音頭、映画、コメディ、文学、漫画、美術と幅広い。出版社は、この手の本では特にぬきんでて有名な創元社。検定公式テキストというと試験のために知識を詰め込むという印象があるのだが、それとは正反対の、大阪を理解するためのテキストである。

それぞれの項目を読むと、どうしても広く薄くになってしまいがちなであり、また一面的のように思えるところもある(例えば河内音頭の項は河内家菊水丸が書いているが、新聞詠みのことが中心である)が、このサイズにまとめるからには仕方ないだろう。ことほどさように大阪の街は深く、また、おもしろいのである。この本を読むだけではもの足りないと思われる方は、さらに巻末の参考文献を、あるいは、是非大阪においで下さい。


アマゾンでは書籍の画像が出ていないのだが、どうせすぐ出るだろうから、画像は大阪検定のポスターです。
創元社の書籍紹介ページ http://www.sogensha.co.jp/book/2009/...
なにわなんでも大阪検定 http://www.osaka-kentei.com/

年(代)
2009年4月発行
商品名
大阪の教科書―大阪検定公式テキスト
価格
¥1,995
著者
橋爪 紳也
出版社
創元社
発売日
2009-04
URL
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/442225054X/kanshin-1-22/ref=nosim